粒子線照射施設内部
シンクロトロン
陽子を一定の円軌道上で回転させ、高周波をかけて加速する装置です。周長は約20m、直径は約7mあります。陽子をうまく円軌道上で加速させるために高周波電圧と偏向電磁石の2つを同期(シンクロ)させることからシンクロトロンと呼ばれています。シンクロトロンで陽子は光の速度の67%まで加速されます。
陽子の各治療室への分配
シンクロトロンで加速された陽子を各治療室へ輸送する所です。全長は70mで、陽子を曲げる偏向電磁石やビーム方向を微調整するステアリング電磁石が配置されています。当センターでは治療室が回転ガントリー室2つと水平照射室1つの計3部屋ありますのでそれぞれの部屋ごとに陽子が輸送されます。
回転ガントリー室(G1・G2)
加速器から送られた陽子を照射する治療室で、ガントリーを360°回転させることができるのが特徴です。これにより任意の方向から陽子線を照射することができます。また、寝台も左右に90°まで回転させることができますので、ガントリーと寝台とを組み合わせた治療計画を立てることで正常組織への被曝を抑えた陽子線治療を行うことができます。
水平照射室(HC)
加速器から送られた陽子を水平照射する治療室です。照射装置が水平に固定されているので陽子線は水平方向にのみ照射されます。ここでは主に前立腺がんの患者さんを対象に治療を行います。寝台が180°回転させることができますので、患者さん自身は毎回向きを変えることなく左右方向からの治療を受けることができます。
がん陽子線治療センター設置機器
GE Signa HDx
がん陽子線治療センターでは1.5TのMRI装置を導入しています。MRIは磁場の力で画像を撮影する装置で、陽子線治療センターでは主に治療計画に使用されます。MRIはCTに比べ腫瘍の状態や周囲の臓器との位置関係など、より詳細な画像を取得することが出来ます。MRIで撮影された画像とCTで撮影された画像とを重ね合わせて表示させることで、ひとつの画像により多くの解剖学的情報を表示させることが出来ます。この画像を治療計画用の画像として使用することで、より正確な陽子線治療計画に役立てることが出来ます。
Canon Aquilion LB
がん陽子線治療センターでは東芝製の16列マルチシステムAquilion LBを導入しています。この装置の最大の特徴はガントリーの直径が900mmと大きく(通常のCTの直径は720mm)、陽子線治療用の体幹部固定具を装着したままでの撮影が可能です。実際の陽子線治療計画時と同じ体位で検査を受けることが出来ますので、治療計画の精度向上が期待できます。
Canon i DREX-UI80
がん陽子線治療センターではデジタルX線TVシステムを導入しました。この装置は直接変換方式FPDを搭載し、歪みのない広い視野で透視・撮影をすることができます。呼吸によって腫瘍の位置が移動する体幹部(肺や肝臓など)における陽子線治療では、治療計画を行う上でこの呼吸による腫瘍の動態や呼吸による移動量を考慮する必要があります。透視下でこれらの動きを把握することが出来るX線TVシステムは、計画呼吸同期による陽子線治療を行う際には有用な装置になります。 さらに当院では呼吸波形を透視画像に取り込んで、実際の呼吸と波形が正しく連動しているかの確認も行えるようになっています。